5月の課題図書

 5月の課題図書(一斉テスト)は以下の2冊です。

  夏目漱石著『坊っちゃん』


「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている」

この有名な冒頭文で馴染みのある『坊っちゃん』は、中学の教科書に一章だけ載っているので、「一章は読んだことがある」という人も多いのではないでしょうか。

私も中学生のころに読んだときは、直情型の主人公「坊っちゃん」が、四国の中学校で巻き起こす顛末をユーモアを交えて描いた作品として読みました。カラっとした語り口と思い切りのいい行動が、そう思わせたのですね。

しかし、今はそれとは違った感想を持っています。親に愛されなかった小供時代、東京から遠く離れた場所での苦労と挫折、それらを大人になった「坊っちゃん」が、苦い後悔と共に思い出しているのでしょう。時々そっと挟まれる苦みを、年を重ねるほど強く感じるようになりました。

  池谷裕二著『脳はなにかと言い訳する』


さて、もう1冊はまったくテイストをかえて、脳科学に関するエッセイです。

「脳」は私たちにとって「都合がいいように」考えたり感じたりします。それをさまざまな研究を元に紹介してくれている本です。このような本を読むと、私は「脳に騙されているのではないか」と、ひどく疑い深い人間になるのですが、しばらくすると忘れてしまいます。これも「脳」の機能ですね。                     (国語科より)