2年生になって最初に読む課題図書

みなさんもいよいよ2年生、ついこの間まで中学生だった1年前と比べて、
体のみならず、心も大きく成長したのではないでしょうか。
そんなみなさんに、2年生最初の課題図書です。
まずは、谷崎潤一郎『谷崎潤一郎犯罪小説集』。

ここに収められている短編は、今から約100年前に発表されたミステリーばかりです。

実は100年前、大正時代の日本ではミステリーが大流行していました。

大正時代は、都市文化が花開いた時代です。
都市というのは、隣に誰が住んでいるのかわからない、考えようによっては不気味な空間です。
そのような不気味な空間から、ミステリーというジャンルが羽ばたいていったのです。

都市の抱える不気味さは今の日本でも変わりありません。
谷崎のミステリーが今なお読者を魅了しているのは、その不気味さを的確に捉えているからかもしれません。

さて続いて2冊目は、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』です。


ヘ―ルシャムという寄宿舎で育てられる少年少女たち。
その寄宿舎の中で絵を描いたり、恋をしたり、みんなそれぞれの青春をそれぞれに生きています。

ですが、この物語はある「謎」を隠しています。
その「謎」が少しずつ明らかになっていきますが、その「少しずつ明らかになってい」く様子が実に不気味なのです。

しかもこの不気味さに大きくかかわっているのが「教育」です。
「教育」と「不気味さ」の取り合わせの妙を、この物語でじっくりと味わってほしいと思います。

2年生最初の課題図書は不気味な2冊。
ぜひ読んでみてくださいね。