2学期最初の課題図書、今回は2冊です。
1冊目はみなさんおなじみ丸山正樹の『慟哭は聴こえない』です。
丸山正樹さん、1学期のおしまいに中杉で講演会+サイン会してくださいましたね。
みなさんの中でも参加してサインをもらった人もいるのではないでしょうか。
『慟哭は聴こえない』は『デフ・ヴォイス』シリーズの三冊目。
手話通訳者の荒井尚人やその家族、刑事何森などいつものメンバーが登場しますが、
それだけではなく手話の世界の新たな広がりを見ることができます。
小説は英語でいうと”novel”、
”novel”はラテン語の”novus”=「新しい」という単語に由来します。
つまり小説は、私たちに新しい世界を垣間見せてくれるものなのですが、
この小説はそういった意味でまさに”novel”にふさわしいものとなっています。
ぜひ楽しみながら読んでください。
2冊目は村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』です。
みなさんは来年の一月、研修旅行で神戸にいくことになります。
神戸というとおしゃれな国際港湾都市、といったイメージを持つかもしれませんが、
その一方で1995年の阪神淡路大震災により
戦後初の大規模な都市型震災を経験した街でもあります。
『神の子どもたちはみな踊る』は6つの小説から構成される短編集で、
どれも阪神淡路大震災にかかわる物語になっています。
この震災のあまりの被害の大きさ、現実の過酷さに、
多くの小説家たちはしばらく物語を紡げなくなりました。
『神の子どもたちはみな踊る』に収録されているこれらの短編が発表されたのは
震災後4年経った1999年でした。
4年間の沈黙の中で村上春樹はこの震災とどのように向き合ったのか、
神戸に行く前にぜひ読んでおいてほしい1冊です。