みなさん、あけましておめでとうございます。
そして明日から研修旅行。
年明けからばたばたですね。
さてそんな忙しい時、それでも読みたくなる課題図書を2冊用意しました。
1冊目はベストセラー作家宮部みゆきの代表作『火車』。
まずミステリーとして秀逸。1992年度「このミステリーがすごい!」で第一位、
しかも2008年には「このミス」20年の歴史においてベストの小説に選ばれるほど、
とにかく謎解きの面白さを存分に味わえる小説です。
しかしそれだけではありません。
お金がなくて貧乏で、首が回らず苦しくて苦しくて仕方がない状態を
「火の車」といいますが、タイトルの『火車』はそれに由来します。
この小説はクレジットカード破産をテーマにした経済小説でもあるのです。
お金がなければ借金をすればいい。
しかし借りたお金をただ返せばいい、借金とはそんな甘いものではありません。
そこがクレジットカード破産の恐ろしさです。
『火車』によってミステリーは新たな段階を迎えたといいます。
謎解きの面白さと借金の恐ろしさをたっぷり味わってください。
続いての2冊目は、穂村弘の『現実入門』というエッセイです。
穂村弘は、いま大人気の歌人で、
体温計くわえて窓に額つけ「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ
約束はしたけどたぶん守れない ジャングルジムに降るはるのゆき
シャボンまみれの猫が逃げ出す午下がり永遠なんてどこにも無いさ
などの歌で知られると同時にエッセイストとしても多くのファンを獲得しています。
さて、この『現実入門』というエッセイなのですが、
年齢的には大人になったものの、大人って、ほんとにこんなことしているの?
そんなことに穂村さんがひとつひとつ挑戦していく、というものになっています。
たとえば「献血ルームに行く」「モデルルームを見学しにいく」
「占い師のところにいってみる」「競馬を見てみる」などなど、
そのような「大人」の経験を通じて「現実」を感じていこう、そんなエッセイです。
穂村さんはこのような「現実」に編集の「サクマさん」という女性と一緒に
挑むのですが、読み進めていくうちに、どうも二人の関係が、
単なる作家と編集者というものではなく、なんだか恋愛っぽくなっていくのです。
そのあたりもぜひ読んでみてくださいね。
そして最後の「あとがきにかえて」。
これも絶対に読んでください。テストに出ますよ~。
いえ、わかりませんが。
今回はずいぶんタイプの違う2冊です。
ですが借金するのも現実、献血ルームに行くのも現実、
みなさんは今年、どんな現実の中を生きることになるのでしょう。
ではでは、今年もまずは楽しく本を読んでいきましょう!