夏休みの課題図書①村上春樹『東京奇譚集』

 夏休みの課題図書、読み進めていますか?恒例の、図書委員さんによるレビューを紹介していきます。

村上春樹『東京奇譚集』(新潮文庫)

 

この短編集は「奇譚集」という題名の通り、不思議な話や奇妙な話が書かれていました。「偶然の旅人」「ハナレイ・ベイ」「どこであれそれが見つかりそうな場所で」「日々移動する腎臓のかたちをした石」「品川猿」の5話の中で、個人的に1番印象的だったのは「偶然の旅人」です。

この話は、ピアノの調律師の男性と疎遠になっていたその男性の姉の関係が、あることをきっかけに快復するという話です。日常の小さな偶然に気づいて、それがなにかしらの行動のきっかけになれば、人生はもっと明るくなるのかなと思いました。“奇跡的な偶然”は常に起きていて、それに気づけた時に人は「ラッキーだ」と感じるのかなと思いました。「真っ昼間に打ち上げられた花火」という表現は、「気づいていないだけで素敵な出来事はいつも起きている」という前向きで元気をくれる言葉のように感じました。(7組IYさんより)