夏休みの課題図書②フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』

 課題図書レビュー第二弾。今回は8組の図書委員さんより。


 フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(ハヤカワ文庫 SF )

――この作品は第三次世界大戦が勃発した後の未来の世界で展開されるお話です。第三次世界大戦後、地球上は放射能灰に覆われ、ほとんどの地球上の住人は火星へ移住します。そんな中地球に残った、主人公リック・デッカードは、逃亡したアンドロイドを殺すことで得られる賞金をもとに生計を立てている警察官(バウンティ・ハンター)です。
 汚染された地球では生きている動物を所有することが地位の象徴となっていますが、人口の電気羊しか飼っていないリックは引け目を感じています。そんなリックの所へ署長のブライアンから、火星から逃亡してきた6体のアンドロイド・ネクサス6型のハンティングを依頼されます。リックは引き受けることにします。アンドロイドを殺せば賞金がもらえますから、その賞金で生きた本物の動物を買おうというわけです。
 この作品ではアンドロイドと人間の違いは何かということを考えさせられます。外見的、内面的には人間とそっくりなアンドロイド。本作品での違いは「感情移入能力があるのかないのか」とされています。この「感情移入能力」をめぐってリックは様々な苦悩を味わいます。
 6体のアンドロイド・ネクサス6型だけでなく、ローゼン協会社長の姪であるレイチェル・ローゼンとリックの関係性の変化にも注目すると、さらに読み応えのある一冊になると思います。(8組TSさんより)